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 2016年9月に開催された「茨城県北芸術祭」の中止が、3月議会の席上、大井川和彦知事によって明らかになりました。
 県北芸術祭は、2016年9月17日から11月20日にかけ、茨城県の県北6市町(北茨城市、大子町、高萩市、日立市、常陸太田市、常陸大宮市)を舞台に開催された地域芸術祭です。「アートと科学技術の芸術祭」として、「海か 山か 芸術か」をテーマに、東京森美術館館長・南條史生が総合ディレクターを務め、チームラボ、イリヤ&エミリア・カバコフ、米谷健+ジュリア、落合陽一など内外の85組のアーティストが参加し、盛大に開催されました。
 2017年5月の茨城県北芸術祭実行委員会総会では、当時の会長の橋本昌前知事の提案で、「茨城県北芸術祭」の2019年秋開催を決定しました。
 しかし、2017年8月の知事選の結果、新人の大井川和彦氏が、橋本氏を破り初当選。知事交代を受けて、開催された2018年の実行委員会総会では「開催時期未定の延期」となっていました。
 井手よしひろ前県議ら茨城県議会公明党は、県北芸術祭の継続開催を大井川知事に求め、2018年3月県議会では、代表質問で「開催時期をオリンピック開催後の2020年以降に延期しても、県北芸術祭は継続的に開催すべきである」と主張していました。
 このような中、3月4日に行われた茨城県議会本会議のいばらき自民党の代表質問に答えて、大井川知事は、「一過性のイベントである県北芸術祭に依存した施策を見直し、持続的な地域の発展につなげることがまずは大事」とし、「持続的な発展に対し、真に効果的であったか曖昧な県北芸術祭は中止する」と、県北芸術祭の中止を明らかにしました。
 茨城県北芸術祭に代わるものとして、ものづくり産業の拠点形成や農林水産業振興にフォーカスした「県北振興チャレンジプラン」をすでに策定しており、これを平成31年度の重点政策として展開します。この中には、県北芸術村構想なども位置づけられています。
 県北芸術祭は、100を超えるプロジェクトが展開され、約77万6000人という瀬戸内芸術祭に次ぐ来場者を記録しました。その経済波及効果は、35億3300万円に達しました。さらに、広告費に換算したパブリシティー効果(広告費換算額)は42億4200万円となりました。知事の指摘する「一過性のイベント」という事実は事実として受け入れなくていけませんが、だからこそ2回目、3回目の開催が必要であるとの声があることも否定できません。

【茨城県北芸術歳の継続開催を】
2018年3月定例県議会
井手よしひろ県議(当時)の代表質問

 県北芸術祭2016は、延べ来場者数77万6000人を記録しました。来場者数では、数ある地域芸術祭の中でも全国第2位の規模でした。その内訳は、県内居住者が76.8%、県外23%と、県外からの来場者や外国人客にどのようにアピールしていくかが課題として残りました。
 次回開催した場合に、また参加したい、見たいと考えた人は83.9%にも上りました。こうした大きな期待に応えられるよう、次回開催に向けて万全な準備を進めていくべきです。
 私は、大地の芸術祭、瀬戸内国際芸術祭、北アルプス国際芸術祭、中之条ビエンナーレ、さいたまトリエンナーレ、そしてあいちトリエンナーレなどをつぶさに現地調査をしてきました。地域密着型の芸術によるまちおこしは、大きな可能性を秘めていると実感をしています。開催地となる市町村が自主的にプログラムを育み、住民運動として定着させていく必要性を強く感じます。
 知事は、既に南條総合ディレクターとも直接会われ、県北芸術祭のあり方を改めて検討されていると聞き及んでいます。地域芸術祭は、単発のイベントではありません。そこに至るまでの開催準備などの場面でアーティストと地域住民がさまざまな形でかかわる中で、地域のすばらしさを住民みずからが実感し、地域の魅力を全国に発信することが大事です。
 次回開催を心待ちにする県北の住民の声は大きく、地元市町と十分意見交換を行い、県北6市町が呼吸を合わせて、次回県北芸術祭を開催できる環境を醸成すべきです。
 昨年5月の実行委員会では、次回開催が来年2019年と決定しています。しかし、当初より、我々県議会公明党は、次回開催を2020年と提案してきました。茨城国体や東京オリンピックの開催時期と重なることを考えると、開催時期を再度検討することも必要であると考えています。
 こうした点も踏まえ、県北の振興、地方創生につなげていくために、県北芸術祭の次回開催についてのお考えをお示しいただきたいと存じます。