県北からアート発信  30会場で芸術祭開幕
本県初の国際アートフェスティバル「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」は17日、開幕し、県北6市町の30会場で計約100の作品・プロジェクトが公開された。会期は11月20日までの65日間で、現代アートを中心に17の国・地域から参加したアーティスト85組が、インスタレーション(空間芸術)などの作品を制作・展示した。開会式は北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれ、総合ディレクターの南條史生氏が「芸術祭を通じて、県北地域を多くの人に知ってもらいたい」と意気込みを語った。

同芸術祭は初めての開催で、県や6市町などの実行委員会が主催。テーマは「海か、山か、芸術か?」。会場地の県北全域は、東京23区の約2.7倍と広大で、「国内最大規模の芸術祭」(南條氏)という。
展示会場は、五浦・高萩海浜(北茨城市、高萩市)▽日立駅周辺(日立市)▽奥久慈清流(常陸大宮市、大子町)▽常陸太田鯨ケ丘(常陸太田市)-の4エリア計32カ所。残りの竜神大吊橋(常陸太田市)と旧浅川温泉(大子町)の作品は10月中旬に公開予定だ。
オープニングテープカット

開会式で、実行委会長の橋本昌知事は「成功のためにはおもてなしが重要。皆で芸術祭のお客さんを精一杯もてなし、喜んで帰ってもらう体制をつくっていく」と意欲を見せた。
参加アーティストを代表して、「チームラボ」の猪子寿之代表は、同美術館を会場とする岡倉天心にちなんだ茶の湯や日本画をモチーフにしたデジタルアート作品を紹介。「新しい分野の作品を楽しみながら、当時の天心や過去の先人たちに思いをはせてほしい」と呼び掛けた。
地元北茨城市の豊田稔市長のあいさつや、宮田亮平文化庁長官のビデオメッセージに続き、橋本知事や南條氏、猪子代表ら関係者がテープカットを行った。

開会式後、同美術館ではチームラボの作品が一般公開され、家族連れなどが色鮮やかなデジタルアートの世界を楽しんだ。
他の展示会場も初日から多くの美術ファンらが来場。いくつかの会場を回って作品鑑賞を楽しんだり、アーティストと触れ合ったりする姿も見られた。