県北芸術祭:開幕 6市町、魅力再発見 活性化へ景観、自然生かし
(毎日新聞:2016.09.18)
人口減少の進む県北6市町の地域振興を目的とした現代アートの祭典「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」が17日、開幕した。会場の一つである県天心記念五浦美術館(北茨城市)で開会式が行われ、関係者がテープカットで祝った。
芸術祭は11月20日までの65日間。「海か、山か、芸術か?」をテーマに、北茨城、高萩、日立、常陸太田、常陸大宮各市と大子町に、国内外の約85組100点の現代アートが展示されている。
置かれる空間も含めて作品と捉える「インスタレーション」と呼ばれるものが中心。廃校や海岸、商店街など県北地域のさまざまな景観をアートに組み入れることで、地域の魅力を再発見し、発信することなどを狙いとしている。
開会式では実行委員会会長を務める橋本昌知事が「地域の活性化のため文化を活用し、地域の特性をいかして人に来てもらうよう企画した」とあいさつ。総合ディレクターで東京都の森美術館長の南條史生氏は「県北の変化ある自然の中で芸術祭をやれば、ユニークな催しになると思った」と述べた。
展示範囲は6市町で約1652平方キロと東京23区の2・7倍。実行委によると、日本で開催される芸術祭では最も広範囲という。紅葉シーズンと重なり交通渋滞も懸念されるが、実行委は迂回(うかい)路の案内などで対応するほか、土日祝日は会場を巡る周遊バスを3コース運行する。
有料展示は五浦美術館や旧美和中(常陸大宮市)など室内展示の計8施設。これらを割安で巡る期間中有効の「パスポート」は大人2500円、学生・65歳以上1500円。