常陸大宮市の旧美和中学校では、現代の魔術師と評される落合陽一さんの作品を見ることができます。
シャボン玉の皮膜に蝶々の姿を映し出す『コロイドディスプレイ』や、飛翔するシャボン玉を単光源で照らす『モナドロジー』、新作の『幽体の囁き』などが廃校となった中学校の教室に、無造作に飾られています。
自然の中に、落合さんの作品が存在する姿は、今までの常識を一つ打ち破りました。
そもそも、芸術祭に落合さんの作品が出品されるのも初めてのようです。県北芸術祭のポスターは、このコライドディスプレーです。芸術祭のキービジュアルが落合作品です。

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旧美和中学校の教室で展示されている「コロイドディスプレイ」

県北芸術祭はテクノロジーを使ったアートをキーキービジュアルに採用した
県北芸術祭の総合ディレクターの南條さんは、「これまでの現代美術業界では、テクノロジーを使ったアートは特殊にとらえられて、脇に置いて箱に入れるみたいな扱われ方をしていた」と語ります。
これに対して落合さんは、「テクノロジーを使っているとアートじゃないってたまに言われます。現代美術から嫌われてるんです、僕(笑)。真新しいテクノロジーに目がいってる間は芸術ではないというような考え方、テクノロジー自体を更新することを芸術に含ませないような「冷めた見方」ってあるじゃないですか。そこの人にいろいろ言われることは多かったですね」と振り返ります。
そして「まずテクノロジーによって、もうこれ以上、現代社会は便利な方向にいかなくてもいいんじゃないかっていうくらいに、ある程度の水準までは今便利になったと思うんですよ。なので、利便性や生活の変化以外でのテクノロジーの利用方法があり得ると思うんです。つまりそういった美やメディアに関する探求活動を許容できるようになった」
「それをなんと呼ぶかというと多分“アート”なんです。コンテンツのみならず、メディアを探求するアート。テクノロジーによって、新しい現象や本当にきれいなものを生み出して、これまでの見方が変わってしまうようなものを作りたい。インターネットとハードウェアのコモディティ化のおかげで、今、テクノロジー側にはある程度無駄なことをやるぐらいの余裕があるので、人間性や心のためにそれらを使ってもいいんじゃないかなって」
(「人間らしさ」すら変わるかも。未来を示唆する芸術×科学最前線より引用http://www.cinra.net/interview/201609-kenpokuart

コロイドディスプレイは、落合さんが東京大学大学院に在籍したころ、カーネギーメロン大学に在籍するAlexis Oyamaさん、筑波大学大学院に在籍する豊島圭佑さんらにとともに、制作しました。
半透明なシャボン膜に超音波を当てて膜を細かく振動させることで、光を乱反射させスクリーンにしてしまうというもの。
従来のディスプレイに比べてよりリアルな質感を表現できたり、複数のコロイドディスプレイを重ねれば眼鏡なし3D表示も実現できます。また、やさしくだったら指を突っ込んでかき回すことも可能なのです。


落合陽一はいばらきが好き、日立の駅前はヤバイ!
2016年3月5日、茨城県の県北6市町で今秋開催される「茨城県北芸術祭」をテーマにしたシンポジウムが、日­立市幸町の日立シビックセンターで開かれました。参加アーティストの落合陽一さんやイアン­・カルロ・ハウシャンさん(フィリピン出身)らが、今回の芸術祭で特色の一つとする「­科学、テクノロジーとアートの融合」について意見を交わしました。
“現代の魔法使い”“映像の魔術師”といわれるメディアアーティストの落合さんは、計算機科学と物理を組み合わせた自身の制作手法に­ついて、「映像と物質の境界をどう超えるかがテーマ。物理的計算などにより、(映像と­物質以外の)第3の表現媒体をつくり出し、それに絵を描いていく」と語りました。
日立市の印象を、『非現実的な姿、それが、たまらない!』と表現しました!

E-02 P152 落合陽一「コライドディスプレー」
旧美和中学校:常陸大宮市高部454