人のいない空間 (ミトゥ・セン)
作品展示場となっている、今では廃校となってしまった旧富士ヶ丘小学校の教室。かつて児童たちが使っていたと思われる机、いすを積み上げ、黒板には子供たちの落書きをイメージした汽車の絵の垂れ幕がかかっていました。
椅子の上に置かれたスピーカーからは子ども達の騒ぐ声が絶え間なく聞こえていました。教室の窓からはグラウンドを挟んで森の木々が見えています。
この作品を見て廃校となった教室には二度と戻ってこないであろう児童たちの声が聞こえる(人のいない空間)という暗く感じるイメージよりも次の授業が始まる前の先生が到着するまでの児童たちの騒ぐ声が教室に響きわたり、教室の中を覗かなければ大勢の児童たちがいるような錯覚を感じる明るい印象を受けました。「子供たちがいる/いた場所」を表現しようとした作者の意図が伝わるような作品でした。
人のいない空間 (ミトゥ・セン)天心記念五浦美術館・撮影はブログ管理者
インドの作家、ミトゥ・センは、天心記念五浦美術館と旧冨士ヶ丘小学校の二か所で展示を行っています。
日本では人口が減り廃校になる学校が次々と出てきていますが、インドでは人口が増え続けており、学校に行きたくても校舎が足りないという状況にあります。
この芸術祭に参加するために、ここを訪れたミトゥ・センは、その両者の現状の食い違いを見つめ、遠く離れた二つの国の空間を「子ども達がいる/いた場所」を媒介にして、一つにつなげようと考えたようです。旧富士ヶ丘小学校を子ども達の声が聞こえる場所として、再び開校しています。
(鑑賞記・写真 小澤正明)

C-07 P106 人のいない空間 :ミトゥ・セン
北茨城市立旧富士ケ丘小学校:北茨城市関本町富士ヶ丘756-1