「干渉する浮遊体」大子町麗潤館での展示作品
シャボン玉は、はかなく消えるもの。でも、その刹那の時間を感動的に演出しました。
メンバーはアビルショウゴ、甲斐桜、さとうひろき、橋本次郎、菱田真史、水落大、柳澤祐磨。「ハッカソン」という方法で、彫刻家やデザイナー、建築家、音楽家、科学者、プログラマー、エンジニアなど多彩なメンバーが出会いチームを組むことで実現されました。
ガラスの器の中のシャボン玉は、下まで落下することなく中空に浮遊しています。膜表面の虹色の干渉模様がたえず流動し、周囲のものが映り込み見る者を魅了してやみません。シャボン玉の動きには、音や光(映像)が呼応しています。
アートと科学、工芸の創造的な出会いが、これまでにない美と体験を生み出したのです。
大子町、漆の美術館「麗潤館」で公開されています。
日本の漆文化を支える大子の漆
 麗潤館は、大子町で「漆掻き職人の育成」「漆の植栽」を目的に設立されたNPO法人です。
 茨城県は、岩手県に次いで全国第2位を誇る漆生産県です。そして、大子町は茨城県のほとんどの漆を産出しています。
 しかも、大子の漆は透明度が高く良質と言われ、輪島塗や春慶塗など高級漆器に仕上げ用として使われています。漆芸家で人間国宝(重要無形文化財)に認定されている大西勲さんなども、大子漆を使用しています。
 漆の品質を決める指標の一つ、「ウルシオール」の含有率は、大子漆が72.3%、他の国内産が67.3%、中国産65.0と、大子産がずば抜けています。
 しかし、その大子漆も後継者の問題や漆の木の減少など、大きな問題を抱えています。日本の漆文化を守ろうと、2013年、NPO法人麗潤館が設立されました。2014年には大子町内に拠点施設がオープンしました。

 今回の県北芸術祭では、木本圭子、BCL、ソンミン・アン、木下真理子、secca、宮原克人、ハッカソンチームの7組のアーティストが作品を展示しています。落ち着いた雰囲気の中で、素晴らしい作品に触れてください。
麗潤館:大子町大子705(営業時間 AM10:30~PM4:00:休館日 火曜日、金曜日)


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F-14 木本圭子:velvet order(柔らかい秩序)2016 autumn sunlight

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F-09 木下真理子:茶の本

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F-10 secca:japan?

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F11 宮原克人:Life Record ー生成と生業ー

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F-15 BCL:折り紙ミューテーション