須田悦弘(六角堂・雑草)
六角堂は県北芸術祭の北茨城市にある3か所のうちの1つの展示場です。六角堂は、岡倉天心が明治38年に邸宅とともに、北茨城五浦の地に自らの設計により建築したものです。その後この地を終生活動拠点としました。昭和17年に遺族より寄贈されたのを機に、茨城大学が五浦美術研究所として管理、運営しています。
現在の六角堂は、2011年の東日本大震災の際に、津波により基礎を残して流失してしまいました。国の復旧予算に加え、各方面からの寄付等により平成24年に再建されました。
長屋門と呼ばれる入り口で、入館料300円を支払い入場します。場内を道なりに進んでいくと右手に天心邸があり、さらに進んでいくと六角堂に通じる階段があります。
その入り口に「C-03 雑草」という説明板があるので、作品番号と作品名を確認して六角堂のほうへ降りていったところ、お堂の周辺には何もない???
須田悦弘(六角堂・雑草)
天心邸のほうへ戻り、観光ガイドの方に「雑草という作品名がついているが作品がない」と尋ねたところ、ガイドの案内で再びお堂に行くと、…ありました。お堂の中の床の隙間から雑草らしき葉っぱが生え、床の間と柱の隙間に朝顔らしき花が一輪とそのツル。
ガイドの説明によると「ここは天心が瞑想にふける場所なので、それにふさわしい作品を作者が置いた」とのことでした。また、木彫りの作品だそうです。しかし、窓越しから見る作品はとても精巧で本物の雑草が生えているようにしか見えませんでした。

説明板をよく読んでみると「この六角堂は、晩年の天心が瞑想のための場所として建てたものです。繊細な植物を彫刻する須田悦弘は、さりげなく佇む雑草と花の木彫りをその中に配し、私たちをほっとさせるような、肩肘の張らない空間を表現しました」と書かれています。何となく納得した気分です。
ガイドの説明と説明板を読んで、この作品の存在を知った自分が、この作品を見て作者の意図をくみ取ろうとすることよりも、芸術に全くうとい自分が改めて情けなく思う作品でありました。
(鑑賞記・写真 小澤正明)

C-03 P104 須田悦弘(六角堂・雑草)
六角堂:北茨城市五浦727-2