ジャン・ワン
六角堂・天心邸にある作品。受付の長屋門から入り道なりに進むと右手に天心邸があり、その邸宅の前の芝生の中に、高さ2.5メートルほどのメタリックな太陽の光を鈍く反射させた彫刻が現れます。
明治時代に建てられた木造の古い天心邸や松などが植えられた日本庭園風の庭の周辺の景色から見ると現代的な彫刻がここに置かれていることは、一見ミスマッチと思えるような作品です。しかし、この作品をよく見ていると下のほうで何かごたごたしているものが、上に行くにしたがって最終的にてっぺんに行くと一つにまとまって、天に突き進んでいるように見えます。
説明板が作品の周囲にありません。作品の説明を読まずに、先に作品と作者の意図を感じ取れということなのでしょうか。探してみると説明板は少し離れた天心邸の縁側におかれておりました。「この未来的な作品は、東洋の伝統に立脚しながらも、常に新しい表現へと向かった天心の精神を顕彰しています」と書かれています。
この文章を読んで、作者は岡倉天心をよく分析をし、さまざまな角度から見て、この作品を作り上げたのであろうと感じました。
作品を見た瞬間に感じたミスマッチという印象を、変える必要がある作品に思えてきました。
(鑑賞記・写真 小澤正明)
C-04 P104 ジャン・ワン(Artificial Rock No.109)
六角堂:北茨城市五浦727-2
ジャン・ワン(Artificial Rock No.109)
中国の歴史や芸術に造詣が深く、実際に中国を訪れていた岡倉天心。炭酸塩コンクリーションによる自然の奇岩が突き出た地形は、奇岩のあしらわれた中国の庭園を連想させます。この景色に一目惚れして、天心はこの五浦の地を活動の拠点としたのではないか、と言われています。
そんな場所に展示されているのが、中国現代美術の代表的作家、ジャン・ワンの中国奇岩を象ったメタリックな彫刻作品です。この未来的な作品は、東洋の伝統に立脚しながらも、常に新しい表現へと向かった天心の精神をリスペクトしているのです。