國安孝昌(常陸のおお田守る竜神)
常陸太田市の市民交流センター(パルティーホール)前の広場に、周囲を丸い木材で組み立てられた高い建物があります。昨年の夏ごろから少しづつ組み立てられて、何ができるのかなと思いながら、毎月のように変化してゆく過程を見てきた作品でした。
建築過程では木材と陶ブロック、スチールパイプの積み上げられ、ダイナミックなインスターレーションは、展開する場所の大地や空間のエネルギーを吸収して、呪術的なパワーを持っているように思えました。
この『常陸のおお田守る竜神』は、常陸太田市が筑波大学芸術学系の國安孝昌教授に制作を依頼してあったもので、茨城県北芸術祭の作品の中では異色の作品です。

山側の常陸太田と対になる海側の作品『日立つ浜の産土神の御座』(ひたつはまのうぶすながみのみざ)は、日立市小貝ヶ浜緑地にあります(作品番号 A-01)。
國安教授は以前から「竜神」をテーマにした作品制作を行っており、この作品が茨城県北芸術祭の後も、西山荘や竜神大吊橋、鯨ヶ丘商店街など、在来の地域資源に加わって、市内周遊や街歩きの魅力のひとつとなることが期待されています。

この國安教授はアメリカ巡回・日本彫刻家展「プライマルスピリットー今日の造形精神」(1990ー91) に最年少の32歳で選ばれました。この展覧会はロスアンゼルス・カウンティ美術館によって行われたもので、日本の一線で活躍する造形作家10人が参加したグループ展で、日本の現代美術を紹介する大規模展として話題になりました。
(鑑賞記・写真 百地 康)
<國安孝昌教授による作品解説>
古来、日本人は竜神を水の神として、命を紡ぐ稲穂を実らす典水や川に感謝しながらも、時に、うねり溢れ流れる川筋の巨大な力を畏怖して、その姿を神として敬ってきました。川の流れに私たちは竜神の姿を見てきたのでしょう。
常陸太田市は浅川、山田川、里川そして久慈川が、北の山々から流れ、緩やかな沖積平野を作っています。はてなく続くその後背湿地には、広大な水田が広がっています。私はこの土地に初めて立った瞬間に、悠久から続く山々や谷筋、そして田畑の中に根付く人々の暮らしの歴史を鮮明にイメージし、美しいと感じました。ならば、この地の豊穣と安寧を祈願する守り神を竜神にたとえ、神が降りる憑代(よりしろ)として、作品をここに置きたいと願いました。
猛暑の夏から半年、80日あまり、日の出から日の入りまで、一人黙々と移る季節の寒さにも耐えながら、そんな願いを込めて、2千本と4万個の丸太と陶片を16mの高さまで積み上げる作業を続けました。渦巻き流れる姿に竜神の生命力を感じて頂ければ幸いです。

D-10 P133 國安孝昌(常陸のおお田守る竜神)
パルティーホール:常陸太田市中城町3210
國安孝昌さんの作品
國安孝昌さんの海側の作品『日立つ浜の産土神の御座』