建築家・妹島和世さんが県北芸術祭の作品“Spring”を語る
10月26日、茨城県北芸術祭の参加アーティストで、日立市出身の建築家・妹島和世さんは、大子町浅川の旧浅川温泉に作品として設置した足湯施設について、プレス向け説明会を開きました。妹島さんは「お湯の面と(足湯の底の)アルミ面に風景が二重に映り、周囲の自然に溶け込むような作品に仕上げた」と解説しました。
足湯施設「Spring(スプリング)」は、直径10メートルの皿型でアルミ製。開幕約1カ月後の今月15日に公開されました。
妹島さんは、設置場所の旧温泉施設について「山に囲まれ、ゆったりとした気分になる魅力的な場所。温泉にちなんだものをと考え、足湯に決めた」と説明。「(敷地入口の)坂道を上がった瞬間、足湯が風景と一体となって目に飛び込んでくる。見たり、入ったりとさまざまな楽しみ方ができる」と魅力を語りました。
足湯の中央部分では、芸術祭参加アーティスト、落合陽一さんによる久慈川のせせらぎを用いたサウンドアートも楽しめます。
妹島和世さんが県北芸術祭の作品Spring
Spring:妹島和世
大子町の旧浅川温泉は、山から久慈川へと続く緩やかな斜面の中程に位置し、県北の美しくのどかな風景の中にある。そこには温泉とともに古く大きな藤棚もあり、地域の人たちが長くこの地に集ってきた雰囲気を敷地からどことなく感じることができる。
敷地の入り口の急な坂道を登り切ると、目の前にその穏やかな風景とともに足湯が広がる。足湯は、直径10mの鏡面のアルミのお皿のような形をしている。白っぽく反射するアルミの面と緩やかに揺れるお湯の面にそれぞれ風景や空が映りこみ、不思議な風景の重なりが生まれる。訪れた人たちはその風景の重なりの中に入り、足湯を楽しむ。人とお湯と風景の新しい関係が生まれ、自然に人が集まることのきっかけとなってくれればと思う。
F-01 妹島和世(Spring)
大子町浅川温泉:大子町浅川2336-1