ヤドカリ
やどかりに「やど」をわたしてみるーBorderー

茨城県北芸術祭は11月20日で閉幕。
これは絶対に見逃すな!という作品を、カウントダウン形式で紹介します。
ラスト6日:ヤドカリのやど・うのしまヴィラ

作家AKI INOMATAのフィールドノートより、
ヤドカリの作品シリーズを開始したのは、2009年。あまりにも年月がかかってしまったが、美術展での生体展示をようやく実現することができた。
それは今まで各所で取り組んできた生体展示があってこそ実現したもので、これまで生体展示の難しさを痛感し続け、ようやく辿り着いた感慨がある。
逆に言えば、長く続けてきたヤドカリのシリーズは、ここで「第一部完結」といった気持ちだ。美術家としても、茨城県北芸術祭は一つのターニングポイントになるように思う。
開幕から45日。ヤドカリは芸術祭スタッフと、うのしまヴィラの皆様のおかげで元気にしている。
茨城県北芸術祭は11月20日まで茨城北部の各所で開催中。
「うのしまヴィラ」は、車でしかアクセスがないが、この機会に是非訪れてみて欲しい。
ヤドカリはその成長にともない、より大きな貝殻へと引っ越しを行います。そして時には、力の強い別のヤドカリによって殻の交換を強いられることもあります。
AKI INOMATAは、2009年の在日仏大使館での展覧会をきっかけに、自ら制作した殻へと、やどかりに引越ししてもらうプロジェクトを始めました。やどかりが背負っていた貝殻をCTスキャンし、そのデータを元に3Dプリンタで出力した人工の殻の上部には、ニューヨークのマンハッタンなど、世界各地の都市を模した形が彫刻されています。殻から殻へと引っ越すことで、その見た目を大きく変えてしまうやどかりを通して、作家は「私たち自身のアイデンティティが何処にあるのか?」を問いかけています。
県北芸術祭に参加しているヤドカリは、日本の象徴「東京スカイツリー」を背負っています!

うのしまヴィラ原田館主
 「ヤドカリのやど」のもう一つの主役は「うのしまヴィラ」。2014年4月にリニューアルオープンしたカフェ感覚で気軽に泊まれるヴィラです。オンザビーチのお洒落なカフェで、地魚と地野菜を使った身体にやさしい料理が食べられる素敵な宿。ゆったり過ごせる居心地の良い空間は、何度でも訪れたくなる魅力が詰まっています。
リニューアルオープンをしたきっかけは、2011年の東日本大震災。津波で甚大な被害を受け、以前の宿(鵜の島温泉旅館)の大部分が流され、解体・更地となってしまいました。
リニューアルオープンには、原田実能館主をはじめ多くの地域の思いと願いが込められています。
東日本で茨城県も大きな被害を受けました。茨城県は“忘れられた被災地”とも言われました。
多くの困難を乗り越えて再建された「うのしまヴィラ」。館主の原田さんの表情には、県北地域の復興から飛躍への揺るぎない意欲が込められています。
そのやさしい笑顔に守られて、スカイツリーを背負ったヤドカリ君も元気育っています。
火曜日と水曜日はレストランの仕込みのため休業となります。残す展示期間は木曜日から日曜日までの4日間です。お見逃しなく!
うのしまヴィラのHP:http://unoshima-villa.com/index.php

A-03 P59 AKI INOMATA(やどかりに「やど」をわたしてみる)
うのしまヴィラ:日立市東滑川町5-10-1