道の駅かわプラザのスタッフがつくったクッキー
11月20日、65日間にわたって開催された「茨城県北芸術祭」が大盛況のもと、閉幕しました。それから、一週間、茨城県北芸術祭の総括を地元茨城新聞の記事から紹介します。(写真、動画はブログ管理者の撮影です)

現代アートの祭典が閉幕 地域活性化にも効果 主催者「成功だった」
毎日新聞茨城版(2016/11/25)
9月17日から約2カ月間にわたって開催され、20日に閉幕した現代アートの祭典「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」には、目標の2.6倍に当たる延べ約77万6000人が来場し、主催者は「成功だった」(橋本昌知事)と胸をなで下ろした。同様のフェスティバルは全国各地で開かれており、根強い人気の現代アート。今回は秋の観光に合わせて県北芸術祭を巡る人も多く、地域活性化にも効果があったようだ。

■有料は21万9000人
会期終盤の19日、常陸大宮市家和楽(やわら)の旧家和楽青少年の家は、雨にもかかわらず人の波が途切れることがなかった。入館料は一般500円。かつて体験学習や宿泊に使っていた施設に、4人の作家が作品を展示している。
体育館には金属製の造花約2万7000本が敷き詰められていた。金属は表裏で色が異なり、正面から見ると真っ黒だが、後ろからだと色彩豊かな光景が広がる。英国の作家の力作だ。隣の旧宿泊棟の和室には、久慈川から採取した石やカセットテープの残骸が、直径20センチほどの範囲で円形に並べられていた。「これは作品なの」と首をかしげる人もいるが、米国の作家が手がけた作品の一部だ。
千葉県市川市から夫婦で訪れた会社員、東谷竜也さん(32)は日立市、大子町など1泊2日で展示エリアを巡った。県北地域に来るのは初めて。「意味の分からない作品もあるが、回るのは楽しい。紅葉シーズンと重なり、いい旅行ができた」。会場近くにある和紙の専門店「紙のさと」の菊池ちあきさん(45)は「会期中、来店客が1、2割増えた」と喜び、地域経済にも貢献した様子だ。
建物内だけでなく海岸や市街地など、県北6市町の32会場に85組のアーティストの作品が展示されている。このうち有料の8会場では来場者が延べ約21万9000人だった。

■橋本知事肝いり
芸術祭開催に旗を振ったのは橋本知事だ。人口減少や過疎化が進み、東日本大震災の影響が色濃く残る県北の振興は県にとって重要な課題だ。このため県は14年度に県北振興室を振興課に格上げ。その目玉事業として掲げたのが芸術祭で、知事自ら会長に就任して実行委員会を結成した。
「瀬戸内国際芸術祭」(香川)や「大地の芸術祭」(新潟)など、現代アートを地域活性化の手段として活用するのは各地でブームになりつつある。ハコモノ公共事業と違って「芸術振興」に批判は少なく、手堅い事業ともいえる。
総事業費6億6000万円のうち県は4億7000万円を負担。ディレクターなどの人件費、作品製作費、アーティストの滞在費などを含めた企画制作費が事業費のうちの4億7100万円を占めたが、異論はなかった。
開催市町の首長からは「県が持ち出しでやってくれるなら、どうぞというのが正直な気持ち」と積極性に欠ける声も聞かれた。最終的には各自治体も独自に補正予算を立てるなどして対応したが、県幹部は「市町の予算でやれる程度では起爆剤にならない。県が資金を用意し、主導したからこそできた企画だ」と胸を張る。

県北芸術祭の継続開催を求める署名を提出
■定期開催焦点に
次回開催を求める声も出ている。公明党の県議、県北6市町の議員は18日、県北芸術祭をトリエンナーレ(3年に1度)形式で継続開催するよう、要望書を知事に提出した。3年後の19年は茨城国体と重なるため、1年遅らせて20年東京五輪文化プログラムとしての開催を提言している。
 継続開催の可否について、橋本知事は「さまざまな意見があるので検証を踏まえて判断したい」と明言を避けているが、県は主に来場者約4000人に対して行ったアンケートの調査結果を基に検証する予定だ。